<転校が原因の不登校>
Kくんは、中学3年の9月にある地方から東京の中学へ転校してきました。
以前の学校ではトップクラスの成績で自分に自信があったのですが、東京の進学校では自分よりも成績が良い生徒がたくさんいたため、ショックを受け、学校へ行きづらくなってしまいました。
2・3週間の不登校期間を経て、区の適応指導教室へ通うようになりました。
学習指導中、指導員の顔色を伺いながら問題集を問いていたので疑問に思って近づいてみたら問題集の中に漫画本を挟んで、勉強をしているように装っていました。
しかし、振り返って考えてみると、負けず嫌いで自尊心の強いKくんは、学校へは行けなくなってしまったけど塾ではすごく勤勉だったそうです。
どうやら、塾で頑張り、適応指導教室は休憩の場と考えていたそうです。
<解決策>
指導教室では午後がスポーツの時間になっていて、運動能力に秀でているKくんは、「テニスをやりたい」と申し出てきました。
「大変だよ」というとか「はい」と元気な返事が返ってきました。
それから、右や左にボールを投げ、バックラインギリギリや、ネット際にボールを落としたりと厳しい指導をしましたが、Kくんはよく走り、よく拾いました。
「そろそろ休憩しようか」「いえ、まだ練習を続けたいです。」
指導する側はくたびれてしまいましたが、このタイミングは逃さず、ハードな練習を続けました。
終了時間で切り上げましたが、Kくんはすごく満足そうでした。
教室に彼と同じ中学3年生がいて一緒に過ごせたこともよかったのだと思います。
Kくんは今まで勉強ばかりの環境だったのですが、スポーツを一生懸命出来たり、いっしょにスポーツができる仲間がいたことが嬉しかったようで、表情が明るくなり、目がいきいきしてきました。
そして、気づけば適応教室の学習時間に漫画を読むことがなくなりました。
Kくんが適応教室に通ったのは5ヶ月ちょっとでしたが無事進学しました。
大学の付属高校に進学したので、そろそろ大学を卒業することだと思います。