小児期崩壊性障害(CDD)とは
生後、少なくとも2年間は正常な発達をしていることと、10歳以前に言語、適応行動、排尿・排便などの機能、遊び、運動能力のうち、2つ以上社会性、コミュニケーション能力、想像力のうちの2つ以上の項目で著しい技能の喪失がある児童のことをいいます。2歳までは明らかに一般の児童と同じ成長を示していたことと、10歳までに障害が見られることがこの診断の条件となります。この診断は同時に他の特定広汎性発達障害や統合失調症などの症状にも当てはまらないことを条件として考えられます。
3歳以上で、アイコンタクトが通じない、他人への興味が極端に低い、言葉をオウム返しにしたり、特定のフレーズをひたすら口ずさんだりすることが大行的な症状と言われています。小児期崩壊性障害は精神発達の退行が見られるため、一度取得した言語能力やコミュニケーション能力などが退行現象を起こしてしまいます。半年以内に退行そのものは止まることがほとんどと言われていますが、自閉症の症状は残ってしまうため家族でも気がつくまでに時間がかかり、確実な診断が下せるときには既に退行もストップし、自閉症の状態の場合が非常に多いため、最初から自閉症診断の下せる児童よりもその後が大変だと言われています。明らかに自閉状態であると診断されると、他の自閉症児童と同じ治療法を用いて、行動療法などで治療にあたります。中等度の精神的な障害をもたらすことが多く、発症率は男子児童に割合が多いとはされていますが、原因などはまだ解明されていません。
アスペルガー症候群や高機能自閉症などと比べると発症率は非常に稀だとされていますが、一度発達した能力が退行現象を起こし、自閉状態で初めて診断が可能になる障害なので初期段階での判断ができないことも割合として少ない要因になっているようです。
2013年5月に正式に自閉症スペクトルは正式な診断名となったため、小児期崩壊性障害という診断名はなくなり、現在では自閉症スペクトクラム障害という診断名だけで、ここから細分化させることはあまりなくなってきました。