不登校や登校拒否に陥る子供は、多くの場合、人には言えない自分なりの悩みや、言い表せない正体不明な不安が原因となっています。子供の小さな世界では、大人にとっては些細なことであっても、大変大きな障害となってしまうケースがよくあります。
始まりは小さな悩みでも、それが徐々に大きくなり、やがて不登校や登校拒否といった症状となるのです。ですから、不登校や登校拒否の予防対策としては、これらの悩みや不安がまだ小さなうちに解決してあげることです。
そのためには、日ごろから子供との会話を増やし、悩んだときにすぐに相談できる環境を作っておくことです。些細なことでも話し合える人間関係が大切です。相談相手のなかに親がいることは当然ですが、時には親には相談できないこともあるでしょうから、できれば親以外の相談相手もいることが理想です。
また、人付き合いに慣れておくことも重要です。人付き合いがうまければ、不登校にならないと言うものではありませんが、人付き合いがうまい子供は適応力も高く、比較的登校拒否は起こしにくいといわれています。
幼い頃からたくさんの人と知り合い、接することで対人関係を学ぶ機会を作ってあげるのです。そのためには、親自身も一緒に人付き合いをしなければなりません。子供の適応能力は、親との関係や家庭環境、養育態度などから多大な影響を受けてしまいます。親が人付き合いが苦手で、適応能力が低いと子供も低くなってしまいがちなのです。
子供が不登校になって親子関係が逆転してわがままな子供に変えてしまっている家族がたくさんいます。
これはすべて子育ての基本を理解していないからです。昔、こういう子供が私の所へやってきました。
もの凄く気の弱い子で、普通の学校へ行けばいじめられてしまうような男の子です。
少し厳しく叱れば言う事を聞くような子です。
しかし、不登校の2年間で両親が甘やかし、自由に過ごさせたために親子関係が逆転して親の言う事は1つも聞かないのです。
父親は有名な会社に勤める見た目はしっかりしている人です。それなのに一言も叱れないのです。
2年間の癖・習慣で嫌な事はゴネれば、すべて逃れる事ができたので私たちにもその手を使うのです。
幼稚園のような子でした。家に帰ると支配者として親を従えるのです。何かあるとすぐに親へ連絡して逃げようとします。
この子の場合は不登校を親が助長させていました。だから私たちは両親に対して、この点を指摘しました。
両親もそれを認識しているけど、親としての威厳を保つ事ができないでいるのです。
結局最後は、1年の夏休みの時点で親が根負けして休学して、引きこもり生活をしてから、半年後に再び1年生からやり直して、卒業しました。
その半年間、私たちはずっと両親を教育し直しました。何十回も学校へ来ていただいて、子育てをゼロからお教えしました。
親子関係が逆転している子がすべてこのようになるわけではありません。ほとんどの子は紆余曲折はありますが、克服できます。
子供だって苦しいはずです。助かりたいといつも思っているはずでも、それ以上に親への恨みつらみ、抵抗と拒否の感情は凄まじいということでしょう
私たちも本当に手を焼きました。子供はいまはもう先生に心服しているようですが、最初は会うどころか、話すらしていないのに、「絶対いやだ!」の一点張りでした
未知の人間に会うことすら、非常に心に負担がかかる上に、何をされるかわからない恐怖と不安があったでしょう。それ以上に、私たち親が薦めることには絶対言うことを聞かないという頑固なねじくれた心もあったと思います。
この問題に関しては、はじめっから無理矢理にでも通わせることは、逆効果だと思います。最後の最後で無理矢理通わせることはいいかもしれません。
でも、最初から、子供の言い分に耳を傾けず、自分たちだけの都合で、強引に連れて行くのはますます親子関係に溝を作ってしまうでしょう。上から目線で子供に接するとろくな結果にはなりませんでした。
人付き合いの上手い、適応力の高い子供の中には、時に親や先生の期待に応えよう、良い評価を得ようとしすぎて疲れ果ててしまうこともあります。親や、先生にとっての良い子を演じるのに疲れてしまうわけです。
EQ(感情知性)を高める教育が今、注目を集めています。テストでよい点が取れるよう、勉強や習い事に力を入れるよりも感性、個人個人のものの感じ方や、考え方というものを伸ばすための教育のほうが、断然不登校の予防対策になります。また、社会に出てからもEQが高い人材を求める企業が増えています。勉強が出来るよりも、独創性の高い考え方が出来る人材のほうが、将来も幸せになれる可能性が高いのです。
不登校や登校拒否の予防対策は、何も特別なことをするわけではありません。核家族化がすすみ、子供は甘やかされるか放置されてしまうことが増えてきたなかで、親として当然の愛情を注ぎ、子供の成長、生活に関心を持つだけでよいのです。子供との接点を多く持つこと、これこそが不登校・登校拒否の最大の予防対策なのです。